ドラッグストアでよく見かける“尿素配合クリーム”。名前の印象で敬遠されがちですが、尿素は肌の角層にもともと存在する“天然保湿因子(NMF)”の一員。うるおいを抱え込む力が高く、濃度が上がると余分な角質をやわらかくして整えるという二刀流の働きがあります。美容と皮膚科の両方から注目される理由を、やさしく解説します。
尿素は“保湿”と“角質ケア”の両方をこなす
- 低濃度(2〜10%):水分をつかまえる力が強く、しっとり保湿がメイン。乾燥肌・粉ふき・つっぱり感の軽減に向きます。
- 中濃度(10〜20%):保湿しながら、軽い角質オフ(角質柔軟化)。肘・膝・かかとのザラつき、二の腕のブツブツ(毛孔性角化)にも。
- 高濃度(30〜40%):硬く厚くなった角質や爪をしっかり軟化。足裏のタコ・ウオノメ、肥厚した爪のスポットケアに医療現場でも使われます。
ポイントは、濃度で役割が変わること。まずは目的に合った濃度を選ぶのが成功のコツです。
部位・悩み別の“使い分け”早見表
- 顔・全身の乾燥 → 5〜10%を毎日。入浴後、化粧水や入浴で濡れた肌にすぐ塗ると◎
- 肘・膝・かかとのザラつき → 10〜20%を1日1〜2回。重ね塗りは様子を見て
- 足裏の厚い角質・タコ/肥厚爪 → 30〜40%を局所だけに。連用しすぎず、刺激が出たら中止
- 手荒れ → 10%前後+ワセリンやセラミドでフタをして水仕事対策
もっと効かせる使い方
- “濡れ肌塗り”:入浴直後など、肌がしっとりしているときに塗ると保湿力がアップ。
- 重ね技:尿素で角質を柔らかく→セラミド・ヘパリン類似物質などの“バリア修復系”を重ねると、うるおいの持続がよくなります。
- 面では低濃度、点では高濃度:広範囲は低〜中濃度、厚いところはピンポイントで高濃度——が刺激を避ける鉄則。
よくある質問(Q&A)
- Q:化粧品の尿素って“尿”から作ってるの?
**A:いいえ。化粧品や医薬部外品の尿素は“合成品”**です。衛生・品質管理のためにラボで作られます。 - Q:子どもや敏感肌でも使える?
A:まずは低濃度・少量・狭い範囲から。赤み・ピリつきが出たら中止し、ワセリンやセラミド中心に切り替えを。 - Q:角質ケア目当てで高濃度を顔に使ってOK?
A:非推奨。顔は刺激を感じやすい部位。顔は10%前後まで、足裏など厚い部位だけ高濃度に。
注意してほしいこと
- 刺激感:濃度が高いほど出やすい。ひりつき・赤みが続くときは休止。
- 塗りすぎ・広げすぎ:高濃度を広範囲に使うとバリアが乱れ、逆に乾燥しやすくなることも。
- 疾患がある場合:アトピー、糖尿病足、爪の病変などは自己判断せず皮膚科へ。医薬品の高濃度尿素については医師の指導に従ってください。
まとめ
尿素は**“うるおす”と“整える”を1本で叶える万能選手**。
- 乾燥ケアなら5〜10%、
- ザラつきには10〜20%、
- 足裏の固い角質は30〜40%を局所に。
この“濃度レシピ”を守り、セラミドなどのバリア成分と組み合わせることで、毎日のスキンケアが一段と安定します。名前に惑わされず、肌の目的に合わせて賢く選ぶ——それが尿素を味方にする最短ルートです。
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