【医師が語る】肝斑(かんぱん)の正体と女性ホルモンの深い関係

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30代後半から40代の女性に多く見られる「肝斑(かんぱん)」。
頬骨あたりに左右対称に広がる、茶色いもやもやとしたシミ。
「スキンケアしてるのに薄くならない」「美白化粧品が効かない」と悩む方も少なくありません。

実はこの肝斑、紫外線だけでなく、女性ホルモンの変動と密接に関わっているのをご存知でしょうか?
本記事では、日本皮膚科学会で発表された医師による講演内容をもとに、肝斑のメカニズムと最新治療法を分かりやすく解説します。


■ 肝斑とは?

肝斑は、医学的には「後天性対称性顔面色素斑」と呼ばれます。
主に以下の特徴があります:

  • 30代以降の女性に多い
  • 頬骨、額、口周りなどに左右対称に現れる
  • 色が濃くなったり薄くなったりを繰り返す
  • 妊娠やピルの服用後に悪化するケースも

一般的な“しみ”と異なり、肝斑は皮膚の深い部分にまでメラニンが分布しているため、単純な美白ケアでは改善しにくいのが特徴です。


■ 原因①:女性ホルモンの影響

講演では、肝斑の発症における女性ホルモンの役割が大きく取り上げられました。
特にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が関与すると考えられています。

  • 妊娠中や閉経前後のホルモン変動
  • 経口避妊薬(ピル)の服用
  • 更年期障害の治療(ホルモン補充療法)

これらによって、メラノサイト(色素を作る細胞)が過敏になり、紫外線や摩擦による刺激でメラニンを過剰に産生してしまうのです。


■ 原因②:紫外線による刺激

ホルモンの影響に加え、紫外線も肝斑を悪化させる主な要因の一つです。

  • 肌の奥深くにある基底層まで紫外線が届き、メラノサイトを刺激
  • UV-A、UV-Bの両方が肝斑に影響
  • 紫外線により慢性炎症が起きることで、メラニンの代謝が乱れる

そのため、日焼け止めの徹底は肝斑治療における基本中の基本。室内にいる時も油断は禁物です。


■ 治療法:最新のアプローチ

肝斑の治療は複数のアプローチを組み合わせて行うことが推奨されています。

▶ 美白外用薬

  • トラネキサム酸(TXA):抗プラスミン作用により、炎症やメラニン産生を抑制
  • ハイドロキノン:メラニンの生成を直接ブロック
  • ビタミンC誘導体:抗酸化作用で色素沈着を予防

▶ 内服薬

  • トラネキサム酸内服:肝斑の改善効果が報告されており、標準治療の一つ
  • ビタミンC、Eの補助摂取:肌の代謝サポート

▶ レーザー治療

  • 注意が必要。レーザーは肝斑を悪化させる場合もあるため、慎重に選択する必要があります。

▶ スキンケアと生活習慣

  • 摩擦レスケア(こすらない洗顔)
  • 質の高い睡眠、ストレスの軽減
  • 紫外線対策の徹底

■ まとめ:ホルモンバランスと美肌はつながっている

肝斑の本質は、単なる「日焼けによるシミ」ではなく、女性の体内で日々変化するホルモンバランスの影響を強く受ける症状であることがわかりました。

美容皮膚科や産婦人科では、内側からのケア外側からのスキンケアを組み合わせた治療が増えています。

「最近、なんだか肌の調子が悪い」「頬にうっすらとシミが…」
そんなときは、皮膚科だけでなく婦人科的な視点を持つことが、美肌への近道かもしれません。


🩺 参考文献
余長講演(2011).「肝斑における女性ホルモンと紫外線の関与」. 日本皮膚科学会雑誌, 121(4).

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