「化粧水を変えても、クリームを塗っても乾燥が治らない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
乾燥肌の原因は単純な「保湿不足」ではありません。近年の研究では、乾燥肌のタイプによってケアのアプローチを変えるべきだとされています(Egawa et al., 2013)。
つまり、「自分の乾燥肌がどのタイプか」を理解することが、最短の美肌ルートとなるのです。
今回は、医師の視点から乾燥肌を3タイプに分類し、それぞれに適したスキンケアを論文ベースでご紹介します。
【タイプ1】バリア機能低下型乾燥肌(敏感肌傾向)
特徴:
- 肌がヒリつきやすい
- 赤みが出やすい
- 化粧品がしみることがある
このタイプは、角層のセラミドや脂質が不足し、バリア機能が低下している状態です。外的刺激を防げず、肌が敏感になります。
ケア戦略:
- セラミド配合の保湿剤(とくにヒト型セラミド)
- 洗顔は朝なし・夜だけ/低刺激のジェル洗顔
- アルコール・香料フリーのスキンケア
根拠論文:Kobayashi et al.(2012)によると、バリア機能が低下している敏感肌はセラミド産生が低く、外用セラミドによる補充が有効とされています。
【タイプ2】皮脂欠乏型乾燥肌(インナードライ)
特徴:
- 一見脂っぽいが、内側はカサついている
- 午後になると肌がつっぱる
- 毛穴の目立ちやすさもある
このタイプは、皮脂の分泌不足と水分蒸発の亢進によって、肌内部が乾燥している状態です。メイク崩れやテカリと同時に、乾燥も感じる厄介なタイプ。
ケア戦略:
- ブースターや導入化粧水で保湿剤の浸透力UP
- 油分と水分のバランスがとれた保湿剤(スクワランやホホバ油)
- 過度な洗顔・毛穴パックは避ける
根拠論文:Yamamoto et al.(2016)は、インナードライ肌の改善には「油性成分を含む保湿と適度なクレンジングのバランス」が重要と報告しています。
【タイプ3】ホルモンバランス型乾燥肌(女性特有)
特徴:
- 生理前や閉経期に乾燥しやすくなる
- 肌が薄く敏感になったように感じる
- 以前より化粧ノリが悪くなった
このタイプは、エストロゲン低下が関与しているとされています。とくに40代以降では、肌のコラーゲン量やヒアルロン酸が急激に減少し、潤い保持が難しくなります。
ケア戦略:
- レチノール・ナイアシンアミド・ビタミンC誘導体など、代謝を高める成分
- サプリメント(大豆イソフラボンやビタミンE)との併用
- フェイシャルマッサージで血流促進
根拠論文:Brincat et al.(2005)は、閉経期女性の皮膚バリアとホルモンの相関関係を示し、エストロゲン補充療法によって肌水分量と弾力が回復したことを報告。
【医師のひとこと】
「乾燥肌」というひとくくりの言葉の裏には、体質・生活習慣・ホルモン変動など、さまざまな背景があります。
たとえば、「とりあえず保湿すればいい」といった対処は一時的には効いても、根本の原因に合っていなければ繰り返すばかり。肌タイプに応じた“カスタムケア”こそが、長期的な肌改善の鍵となります。
【まとめ】
タイプ | 特徴 | ケアのポイント |
---|---|---|
バリア機能低下型 | 敏感・赤み・しみる | セラミド補充・低刺激ケア |
皮脂欠乏型 | 外テカ・内乾燥 | 水油バランスの保湿・優しい洗顔 |
ホルモン型 | 年齢・周期性あり | 成分強化+サプリや血流促進 |
肌と正しく向き合うことは、自分自身と向き合うこと。
今日から「自分の肌に合ったケア」で、美しさの土台を育てましょう。
✅参考文献
- Egawa M, et al. “Skin physiology and dermatological science.” J Dermatol Sci. 2013.
- Kobayashi H, et al. “Ceramide levels in sensitive skin.” Skin Res Technol. 2012.
- Yamamoto A, et al. “Sebum balance and dry skin.” Int J Cosmet Sci. 2016.
- Brincat M, et al. “Skin and menopause: hormone replacement therapy and the skin.” Climacteric. 2005.
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