健康診断は、病気の早期発見や予防に欠かせない重要なステップですが、結果を正しく読み取り、次のアクションにつなげることができていますか?
今回は、医師と薬剤師という異なる視点から、健康診断で見逃しがちなポイントを解説します。さらに、図や表を用いて具体的な内容をわかりやすくお伝えします。

1. 健康診断の目的を理解しよう
健康診断の目的は以下の2点です:
- 病気の早期発見
- 健康リスクの把握と予防策の検討
しかし、診断結果が正常範囲でも油断は禁物です。「正常」の範囲内にあっても、個人の健康状態やリスクは一人ひとり異なります。
正常値と基準値の違い
基準値は統計的に導き出された値であり、必ずしも個人に適した値ではありません。
例えば、血圧が基準値内でも、「個人の適正血圧」から逸れている場合には注意が必要です。
項目 | 基準値 | ポイント |
---|---|---|
血圧 | 120/80 mmHg 以下 | 高めの基準値でも個人差を考慮する |
血糖値(空腹時) | 70~109 mg/dL | 100 mg/dL以上なら将来リスクを検討 |
LDLコレステロール | ~120 mg/dL | 100 mg/dL超でも生活習慣を見直すべき場合 |
2. 健康診断で見逃しがちな項目
(1) 軽度の異常値
軽度の異常が放置されるケースがよくあります。以下の項目は特に注意が必要です。
- 肝機能:ALTやASTの軽度上昇
軽度の上昇が繰り返される場合、脂肪肝や肝炎の初期兆候の可能性があります。 - 尿酸値の軽度上昇
正常範囲でも7.0 mg/dLに近い値の場合、将来的に痛風リスクが高まります。
項目 | 軽度異常の基準 | 注意が必要な理由 |
---|---|---|
ALT | 30~40 IU/L以上 | 脂肪肝・肝炎のリスク |
尿酸値 | 6.0~7.0 mg/dL | 痛風や腎障害の予兆 |
血糖値 | 100~109 mg/dL | 将来の糖尿病リスク |
(2) メタボリックシンドロームの予兆
腹囲や体重は重要な指標です。「正常値内」でも増加傾向があれば生活習慣を見直すべきです。
以下の表は、メタボリックシンドロームの診断基準をまとめたものです。
項目 | 基準値 | 備考 |
---|---|---|
腹囲 | 男性:85cm以上女性:90cm以上 | 必須項目(内臓脂肪型肥満の指標) |
血圧 | 収縮期血圧:130mmHg以上または拡張期血圧:85mmHg以上 | 降圧薬を使用している場合も対象 |
空腹時血糖値 | 110mg/dL以上 | 糖尿病予備軍やインスリン抵抗性を示唆 |
中性脂肪(TG) | 150mg/dL以上 | 脂質異常症のリスクを示唆 |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 善玉コレステロールが低い場合、注意が必要 |
ポイント
- 腹囲は必須項目で、血圧、血糖値、中性脂肪、HDLコレステロールのうち2項目以上が基準値を超える場合、メタボリックシンドロームと診断される可能性があります。
- 健康診断の結果を基に、必要に応じて生活習慣改善や医師への相談を行うことが重要です。
3. 二次検査や精密検査の必要性を知る
健康診断後、異常が見つかった場合は必ず精密検査を受けましょう。見逃しがちなケースをいくつか挙げます。
(1) 胃の異常
胃カメラ検査での早期胃がん発見率は高いですが、バリウム検査では見逃される可能性があります。年齢やリスク因子に応じて胃カメラ検査を選択するのがおすすめです。
(2) 心電図の異常
軽度の不整脈や心筋虚血の兆候は、健康診断の心電図だけでは検出しにくいことがあります。自覚症状がある場合はホルター心電図などの追加検査が必要です。
4. 医師と薬剤師からのアドバイス
医師の視点:異常値を放置しない
「様子を見ましょう」という診断で放置しないことが大切です。わずかな変化も、医師に相談してみてください。
薬剤師の視点:薬の副作用を疑う
薬を服用中の場合、健康診断の結果に影響を与えている可能性もあります。例えば、降圧薬は腎機能やカリウム値に影響を及ぼします。
薬の種類 | 影響しやすい検査項目 | 対策 |
---|---|---|
降圧薬 | 腎機能、カリウム値 | 薬剤師に相談して服用継続の是非を確認 |
スタチン系薬 | 肝機能 | 定期的に肝機能検査を受ける |
NSAIDs(解熱鎮痛薬) | 尿酸値、腎機能 | 長期使用は避ける |
5. 健康診断後の行動計画を立てよう
健康診断は始まりに過ぎません。その後の行動が健康を左右します。
行動計画の立て方
- 異常値の内容を正確に理解する
- 必要な場合は精密検査を受ける
- 日常生活の改善を計画する
生活習慣の改善ポイント
改善項目 | 具体的なアクション |
---|---|
食生活 | 野菜を1日350g以上摂取する |
運動 | 週に150分の有酸素運動を行う |
睡眠 | 毎日7時間以上の睡眠を確保する |
まとめ
健康診断は、病気の早期発見と予防の重要なステップです。しかし、結果を適切に理解し、次の行動に移すことが何よりも大切です。
医師と薬剤師という視点から、皆さんの健康管理に役立つ情報をお届けしました。ぜひ次回の健康診断を有効活用し、より良い健康ライフを目指しましょう!
補足
医師監修の記事が豊富で、血圧や血糖値の正常値について詳しく解説しているサイトがあります。
ぜひ参考にしてみてください!