はじめに
「寝不足になると、なぜかニキビが増える…」
そんな経験はありませんか? 実はそれ、気のせいではなく医学的にも説明がつく現象です。
今回は、寝不足とニキビの関係をわかりやすく解説し、肌荒れをリカバリーするための対処法を医師の視点からご紹介します。
なぜ寝不足でニキビができやすくなるのか?
① ホルモンバランスの乱れによる皮脂分泌の増加
睡眠不足は、**コルチゾール(ストレスホルモン)**を増やします。
このホルモンは皮脂腺を刺激し、皮脂の過剰分泌→毛穴詰まり→ニキビという悪循環を引き起こします。
② 肌の修復機能が低下
本来、睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌細胞の修復が行われます。
寝不足が続くとこのプロセスが滞り、炎症や傷が治りにくく、ニキビが悪化しやすくなります。
③ 腸内環境の乱れと関係する
最新の研究では、「腸と肌(gut-skin axis)」の関係が注目されています。
睡眠不足は自律神経に影響を与え、腸内フローラのバランスを崩すことで肌トラブルにつながる可能性もあります(Bowe & Logan, 2011)。
医師がすすめる「寝不足×ニキビ」の対処法5選
1. 洗顔は「優しく・低刺激」が鉄則
寝不足時は肌が敏感な状態。
ゴシゴシ洗顔やアルコール成分の強い化粧水はNG。
泡で優しく洗い、低刺激のスキンケアで保湿を重視しましょう。
2. ビタミンB群と亜鉛を意識した食事を
ビタミンB2・B6は皮脂分泌のコントロールに必須。
亜鉛は肌の再生や炎症抑制に関与します。
✅ おすすめ食材:
- ビタミンB群:レバー、卵、納豆、アーモンド
- 亜鉛:牡蠣、赤身肉、かぼちゃの種
忙しいときは、マルチビタミンのサプリメントで補うのも1つの方法です。
3. なるべく日中に10~20分の仮眠をとる
夜間の寝不足が続く場合は、昼の短時間の仮眠が脳と肌の回復をサポートします。
カフェイン摂取は仮眠の30分前までに済ませると◎。
4. 軽いストレッチや深呼吸でストレス緩和
交感神経優位になるとニキビができやすくなるため、
副交感神経を高める呼吸法やヨガが効果的です。
寝る前に「吸う5秒・吐く7秒」の呼吸を5回。
これだけでも肌と心のストレスが軽減します。
5. 外用薬を“早めに”活用する
寝不足ニキビは炎症性が強くなりやすいため、赤みや痛みがあるニキビは早めの治療がカギです。
市販薬(※)や、皮膚科処方の外用薬(過酸化ベンゾイル、抗菌薬)を適切に使用しましょう。
※自己判断せず、できれば医師に相談を。
寝不足が続いたときに“避けたい”NG行動
- ファンデーションで厚塗りカバー
→毛穴詰まりを助長し、ニキビが悪化します。 - 糖質・カフェイン・ジャンクフードの暴食
→インスリン上昇でホルモンバランスが乱れやすくなります。 - 洗顔回数を増やす・ピーリングを多用
→バリア機能を傷つけ、肌が刺激に弱くなります。
医師のひとこと
「ニキビ=不潔だからできる」と考える方もいますが、
実際には生活習慣、睡眠、ホルモン、ストレスなど多くの要因が関与しています。
寝不足は避けられないときもありますが、その後のケアで肌のダメージは大きく変わります。
ご自身の肌と向き合い、無理のない範囲でできるケアから始めてみましょう。
Bowe WP, Logan AC. Acne vulgaris, probiotics and the gut-brain-skin axis. Gut Pathog. 2011.
Yosipovitch G et al. The role of sleep in skin diseases. J Am Acad Dermatol. 2015.
Kahan V et al. Sleep deprivation affects skin barrier function. Sleep Med. 2016.
Smith RN et al. A low-glycemic-load diet improves acne. Am J Clin Nutr. 2007.
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