「最近、肌のハリがなくなってきた」「何を塗っても乾燥する」。
40代以降の女性が感じるそんな変化の大きな原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
しかし、もし「ホルモンを飲まずに、肌に塗るだけでハリを取り戻せる」としたら?
今回は、2018年に発表された論文
「A Double-Blind Randomized Pilot Study Evaluating Topical Methyl Estradiolpropanoate (MEP) as Anti-Aging Cosmeceutical」
の内容を、医師目線でわかりやすく紹介します。
🧬 MEPとは?——“塗る女性ホルモン”のような成分
MEP(メチルエストラジオルプロパノエート)は、
エストロゲンに似た作用を持ちながら、体内のホルモンバランスには影響を与えないように設計された成分。
肌の細胞(ケラチノサイト・線維芽細胞)にあるエストロゲン受容体に選択的に働きかけるため、
安全に“肌だけをホルモン的に若返らせる”という発想の新世代美容成分です。
🧪 研究概要
- 対象者:閉経後女性約80名(平均年齢56歳)
- 方法:
参加者を2群に分け、- MEPクリーム群
- プラセボ(偽薬)クリーム群
に分け、12週間顔全体に塗布。
研究は二重盲検法(医師も本人もどちらを使っているか不明)で行われました。
- 評価項目:
皮膚の弾力・水分量・乾燥・細かいシワの改善を測定し、同時に血中ホルモン値も確認。
📈 結果:驚くほどの美肌効果
12週間後の結果は明確でした👇
| 評価項目 | MEP群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 皮膚の弾力 | +15〜20% 改善 | 変化なし |
| 水分量 | +18% 改善 | 変化なし |
| シワの深さ | −11% 減少 | −2% 程度 |
| 乾燥スコア | 2段階改善 | 変化なし |
さらに重要なのは、血中エストロゲン値や子宮内膜厚に変化がなかったこと。
つまり、MEPは「肌だけにホルモン的な作用を起こし、体には影響しない」という安全性を示しました。
🌿 医学的メカニズム
エストロゲンは皮膚で次のような作用を持ちます:
- コラーゲン合成の促進
- 表皮の水分保持力の向上
- 抗酸化・抗炎症作用
- メラニン生成の抑制
MEPはその中でも「線維芽細胞活性化」と「真皮コラーゲン生成促進」を担うため、
肌が“ふっくら”し、“ハリが戻る”といった若返り効果を発揮します。
🧴 実際の使用感と安全性
臨床試験では、副作用はほぼ認められず、
わずかに軽いかゆみ・赤みが一部で報告された程度。
ホルモン療法のように血栓症や乳腺への影響を心配する必要はなく、
**「塗るだけで安全にエストロゲン様作用を得られる」**点が非常に画期的です。
💬 医師のコメント
この研究は、「美容医療とホルモン医学をつなぐ」重要な一歩です。
従来のアンチエイジングは外側(スキンケアやレーザー)中心でしたが、
MEPのような成分は**“肌の内側で働くホルモン美容”**を実現します。
特に更年期以降の女性では、
HRT(ホルモン補充療法)に抵抗がある方でも安心して使える可能性があり、
今後の研究・市販化に大きな期待が寄せられています。
✨ まとめ
- MEPは「ホルモンを使わずにホルモンのように肌を若返らせる」新成分
- 閉経後女性の肌の弾力・水分量・シワを改善する臨床データあり
- 血中ホルモンに影響を与えないため、安全性が高い
- 将来的には**“塗るHRT”**として更年期美容の中心になる可能性

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