はじめに
「なんとなく夜寝る前にSNSを見ていたら、あっという間に深夜…」
「翌朝、肌がくすんでいた」「むくみやすい」「ニキビが出やすくなった気がする」
それ、睡眠の質低下による“美容ダメージ”かもしれません。
SNSは便利で楽しいツールですが、使い方次第では睡眠と肌のコンディションに悪影響を及ぼします。
今回は医師の立場から、SNS使用と睡眠、そして美容の関係について医学的な観点から解説します。
SNSが睡眠に与える3つの悪影響
1. ブルーライトでメラトニンが抑制される
スマホ画面から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を抑制します。
メラトニンは夜になると自然と増えるホルモンで、私たちの「眠気」を誘導する役割があります。
夜にスマホを凝視すると、脳が「まだ昼間」と錯覚し、眠気が起きにくくなるのです。
2. 情報過多で脳が“覚醒”してしまう
SNSは写真、文章、動画、コメントなどの視覚・言語・感情刺激が詰まったメディア。
次々とスクロールする行為は脳を覚醒させ、副交感神経が優位になりにくくなります。
その結果、寝つきが悪くなる・眠りが浅くなるといった「睡眠の質」の低下を招きます。
3. 比較・不安でストレスホルモン上昇
SNSでの「いいね」数や他人との比較が、**コルチゾール(ストレスホルモン)**を上昇させることが報告されています。
睡眠前にストレスを感じると、自律神経が乱れ、眠りが浅く、肌再生ホルモン(成長ホルモン)にも悪影響が出ます。
睡眠不足が美容に与えるダメージ
1. 肌のターンオーバーが乱れる
肌の細胞は睡眠中に修復・再生されます。特に、深い睡眠中に分泌される成長ホルモンは、美肌の土台となるコラーゲン生成やターンオーバーに重要な役割を担っています。
睡眠の質が落ちると、肌荒れ、くすみ、ハリ低下などのトラブルが起きやすくなります。
2. ニキビや炎症のリスク増加
睡眠不足は免疫力の低下と炎症ホルモンの上昇を引き起こし、結果としてニキビや肌の赤みなどの「炎症肌」へとつながります。
3. むくみ・クマの原因に
浅い睡眠ではリンパの流れが滞りやすくなり、朝のむくみや目の下のクマが強く出ることがあります。
医師がすすめる「SNSと美容のためのナイトルール」
- 寝る1時間前にはスマホをオフ
- ベッドにスマホを持ち込まない
- ブルーライトカットの設定や眼鏡を活用
- どうしても見たいときは“検索”より“音声コンテンツ”を選ぶ
- SNSの代わりに日記や読書、アロマを使ったリラックスタイムを
医師のひとこと
SNSは「便利さ」と「美しさ」が必ずしも両立するわけではありません。
とくに夜のSNSは、美肌ホルモンと睡眠のリズムを奪う最大の敵になりかねません。
「あと5分だけ…」が習慣になる前に、自分自身の“美容のための夜ルール”を持っておくことが大切です。
まとめ
- SNSの夜間使用は、睡眠ホルモン・自律神経・肌再生に悪影響を与える
- 美容の基本は「質の良い睡眠」にあり
- 寝る1時間前からSNSをオフにすることが“肌ケア”につながる
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