「ニキビは治ったけど、跡が残ってしまった…」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実は、ニキビ跡には種類があり、それぞれに適した対策が異なります。
今回は、医師の視点から、ニキビ跡の分類と自宅でできるケア、さらに医療機関での最新治療法まで詳しくご紹介します。
✅ ニキビ跡の3タイプとは?
ニキビ跡と一口に言っても、実際には以下の3種類があります:
① 赤み(炎症後紅斑)
ニキビが治った後に残る赤い色素。毛細血管の拡張や炎症反応が原因。特に白く色が抜けにくい肌質に多く見られます。
② 色素沈着(炎症後色素沈着)
メラニンが過剰に作られ、茶色っぽい色素が残った状態。紫外線や摩擦によって悪化しやすい。
③ クレーター(萎縮性瘢痕)
真皮層までダメージが及んだ結果、皮膚がへこんだ状態。いわゆる「クレーター肌」はこのタイプに該当します。
✅ 自宅でできるニキビ跡ケア
🔸 赤み・色素沈着タイプに有効なケア
- ビタミンC誘導体(トラネキサム酸との併用も◎)
美白・抗炎症・コラーゲン生成促進に効果的。
→ 市販の美容液で5〜10%濃度のものが目安。 - 紫外線対策は必須
日焼け止めはSPF30以上を毎日使用。UVによる色素沈着の固定化を防ぎます。 - 摩擦を避ける洗顔・保湿重視のケア
洗顔は泡でやさしく。乾燥は炎症の悪化要因になるため、保湿も忘れずに。
🔸 クレータータイプに有効な習慣
クレーター跡はセルフケアでは限界がありますが、肌のターンオーバーを整えることは回復をサポートします。
- レチノール(ビタミンA)クリーム
皮膚の新陳代謝を促進し、凹凸をなめらかに。
→ 低濃度から始めて、刺激に注意。 - アミノ酸・ビタミンB群の摂取
肌の修復材料となるタンパク質・栄養素は意識的に摂ること。
✅ 医療機関での治療法
深いニキビ跡やセルフケアで改善が見られない場合は、皮膚科での治療が有効です。
① レーザー治療
- フラクショナルレーザー(炭酸ガスレーザーなど)
→ 肌表面に微細な穴を開けて再生を促進
→ 萎縮性瘢痕に対して最も効果的とされる治療の一つ(Yeh et al., 2015)
② ケミカルピーリング
- サリチル酸・グリコール酸などの酸による角質除去
→ 赤み・色素沈着の軽減に有効
③ ダーマペン・マイクロニードル療法
- 細かい針で皮膚を刺激し、コラーゲン生成を促進
→ レーザーが合わない肌タイプに代替可能
④ 外用薬・内服薬
- トレチノイン・ハイドロキノン:ターンオーバー促進+美白
- 漢方薬や抗炎症薬:炎症の持続が原因となっている場合に有効
✅ 医師のひとこと
ニキビ跡が残ると、自信がなくなったり、メイクで隠すのが習慣になったりしてしまいがちです。ですが、適切なケアと専門治療を組み合わせれば、確実に改善の道はあります。
特にクレータータイプは、“時間”と“適切な治療の選択”がカギです。
早めの相談で、肌の再生力を最大限に活かしていきましょう。
✅ まとめ
- ニキビ跡には「赤み・色素沈着・クレーター」の3タイプがある
- 自宅ケアではビタミンC、保湿、紫外線対策が基本
- クレーターには医療機関のレーザー・ダーマペン治療が効果的
- 継続と組み合わせが、肌の再生を支える近道!
✅ 参考文献
- Yeh YC, et al. “Ablative Fractional Laser Treatment for Acne Scars: A Systematic Review.” JAMA Dermatol. 2015.
- Kwon HH, et al. “Clinical and histologic effects of topical retinoids on atrophic acne scars.” J Dermatolog Treat. 2017.
- Dreno B, et al. “Post acne scarring: A review of pathophysiology, prevention, and treatment options.” Am J Clin Dermatol. 2018.
- American Academy of Dermatology. “Acne Scars: Diagnosis and Treatment.” aad.org
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