【医師監修】ストレスで肌が荒れるのはなぜ?

Beauty

ホルモン・自律神経・皮膚の密接な関係とは


はじめに

「忙しい時期になると肌がボロボロになる」
「人間関係のストレスがあると、必ずニキビができる」
そんな経験、ありませんか?

実はそれ、気のせいではなくストレスがホルモンバランスや自律神経に影響し、肌に変化をもたらす科学的根拠があるのです。

今回は医師の視点から、ストレス→ホルモン→肌への影響ルートを解説し、今日からできるセルフケアの方法もご紹介します。


なぜ「心のストレス」が肌に出るのか?


▶ ストレスは脳に伝わり「ホルモンバランス」を乱す

人がストレスを感じると、脳の視床下部を通じて「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」が分泌されます。これにより副腎から**コルチゾール(ストレスホルモン)**が放出されます。

このコルチゾールが過剰に分泌されると:

  • 皮脂腺が刺激され、皮脂過剰→ニキビの原因
  • 肌のバリア機能が低下→乾燥・赤み・敏感肌化
  • ターンオーバーが乱れる→角質肥厚・くすみ

さらに、ストレスは女性ホルモン(エストロゲン)を低下させることもあり、美肌維持に必要な皮脂・水分・ハリの調和が崩れてしまいます。


▶ 自律神経の乱れも「肌の暴走」の引き金に

ストレスによって交感神経が優位になると、血流が悪化し、末端(肌)への栄養供給が低下します。

結果として:

  • 顔色がくすむ
  • 肌が冷えやすくなる
  • 傷の治りが遅くなる

また、睡眠の質が低下することで、成長ホルモンの分泌が減り、肌の再生能力が落ちるという悪循環に陥ることも。


よくあるストレス性肌トラブル

症状原因となる主な仕組み
ニキビ・吹き出物皮脂分泌過剰+毛穴詰まり+炎症
乾燥・つっぱり感バリア機能低下+角質の水分保持力低下
かゆみ・赤み・湿疹炎症反応↑+アレルギー反応の亢進
肌のくすみ・ゴワつき血行不良+ターンオーバーの停滞

今日からできる「ストレス肌」対策5選


✅ 1. クレンジング・洗顔は“やさしさ”を最優先

バリアが乱れている時期は、洗いすぎ厳禁

  • クレンジングはミルクやバームで摩擦レス
  • 洗顔はぬるま湯+泡立てた低刺激洗顔料を
  • タオルでこすらず、ポンポンとやさしくふく

✅ 2. 鎮静・保湿重視のスキンケア

ストレス肌には鎮めて守るケアが効果的。

おすすめ成分:

  • ツボクサエキス(CICA)
  • グリチルリチン酸(抗炎症)
  • セラミド・アミノ酸(保湿)
  • ナイアシンアミド(皮膚バリア修復)

✅ 3. “深呼吸+日光浴”の5分習慣

朝に自然光を浴びながら深呼吸することで、**セロトニン(幸せホルモン)**が分泌され、メンタルが安定。結果的に肌にも好影響が。

  • 起床後にカーテンを開けて、日光を浴びる
  • 呼吸は「4秒吸って・7秒吐く」を3セット

✅ 4. ストレスを溜めない“インナーケア”

肌とメンタルを支える栄養素をしっかり摂取。

  • トリプトファン(豆腐・バナナ・乳製品)→セロトニンの材料
  • ビタミンB群(納豆・玄米・卵)→ストレス耐性UP
  • オメガ3脂肪酸(青魚・くるみ)→炎症抑制&ホルモン安定

✅ 5. 睡眠の“ゴールデンタイム”を味方に

成長ホルモンは、入眠後90分の深い眠りでピーク分泌。この時間帯を逃さない工夫を。

  • 就寝1時間前はスマホ断ち
  • 湯船につかって体温を一度上げる
  • 部屋は22℃前後・湿度50%程度が理想

医師からのひとこと

ストレスは、心にも肌にも“じわじわと悪さ”をします。
でも逆に言えば、ストレスを“感じにくい体質”や“回復しやすい習慣”を持つことで、肌は確実に強くなっていきます。

大切なのは「肌が荒れたからスキンケアを強くする」のではなく、
“肌と心を同時に整えるケア”を意識すること。

美容は“自分との関係性”から生まれるのだと、私は思います。


まとめ

  • ストレスはホルモンバランス・自律神経を乱し、肌に影響する
  • コルチゾール過剰 → ニキビ・乾燥・炎症・くすみにつながる
  • 深呼吸・保湿・栄養・睡眠で“内と外”から肌をケア
  • 「肌と心はつながっている」と理解することが予防の第一歩

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