はじめに
「お酒に強い日と弱い日がある気がする」「生理前は酔いやすい気がする」――。
これは気のせいではなく、月経周期とアルコール代謝が密接に関係していることが、近年の研究からも明らかになってきました。
この記事では、女性の身体のリズムとアルコールの代謝・美容への影響について、医師の視点からわかりやすく解説します。
月経周期とホルモンの基本
女性の月経周期は約28日で、「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」に分かれます。
この周期の中で特に注目すべきホルモンが、エストロゲンとプロゲステロンです。
- エストロゲン（卵胞ホルモン）：排卵前に多く分泌。代謝や気分の安定に関与。
- プロゲステロン（黄体ホルモン）：排卵後〜月経前に分泌。むくみや便秘、眠気の原因にも。
これらのホルモンが、アルコール代謝や体の反応に影響を与えるのです。
アルコール代謝と月経周期の関係
① 黄体期（生理前）はアルコールの影響を受けやすい
プロゲステロンが優位になる**生理前（黄体期）**には、以下のような変化が起こるとされています：
- 体温上昇 → アルコールの吸収が早まる
- 水分貯留 → アルコールの分布容量が減り、血中濃度が高まりやすい
- 肝臓の代謝能力が一時的に低下
そのため、同じ量を飲んでも酔いやすく、翌日に残りやすい時期といえます。
✅ 研究報告：Sutker et al.（1987）は、月経周期により女性のアルコール感受性が変動することを示し、特に黄体期の方がアルコールに対して過敏になる傾向があると報告しました。
② 卵胞期は比較的代謝が安定
生理終了後〜排卵前の卵胞期では、エストロゲンが増加し始め、代謝機能が活発になるため、アルコール代謝も比較的スムーズです。
この時期は肌の調子も安定し、精神的にも前向きになる傾向があるため、「飲酒しても太りにくい」「肌荒れしにくい」と感じる女性も多いようです。
美容面から見た「飲むべきでない日」
肌や体の状態に気をつけたいタイミングは黄体期と月経期。
- 黄体期（PMS期）：むくみやすく、肝機能も低下傾向。アルコールによる肌荒れ・便秘悪化に注意。
- 月経期：貧血や脱水を起こしやすく、アルコールの利尿作用でさらに体調が不安定に。
この時期は、できる限りノンアルで体をいたわる習慣を取り入れるのがおすすめです。
タイミングに合わせた「美容と飲酒」の工夫
| 時期 | 状態 | 飲酒の工夫 |
|---|---|---|
| 卵胞期 | 代謝が活発 | 飲むならこの時期に。水分とビタミン補給を意識 |
| 排卵期 | 肌バランスやや不安定 | 飲酒は控えめに。保湿ケアを丁寧に |
| 黄体期 | むくみ・腸内環境悪化 | ノンアルか1杯だけに留める。乳酸菌・水分補給を |
| 月経期 | 血行・免疫低下 | 極力ノンアル。鉄分・たんぱく質中心の食事を |
医師のひとこと
女性の体は、1ヶ月の中でもホルモンと代謝の波に揺れ動く繊細な仕組みを持っています。
「今日はなんだか酔いやすいな」「肌が荒れやすいな」と感じたら、それは体からのサインかもしれません。
カレンダーで自分の周期を把握し、飲酒のタイミングや量をコントロールすることは、美容と健康にとって大きな一歩です。
まとめ
- 月経周期によってアルコールの代謝・酔いやすさ・美容リスクは変化する
- 生理前（黄体期）と月経中はアルコールに要注意
- 飲むなら「卵胞期」がベター、美容ケアも合わせて取り入れる
- 無理に禁酒せず、体調やホルモンに合わせて選択を
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