「お昼になるとテカテカ」「鼻だけ毛穴が目立つ」「ニキビが繰り返す」
こんなお悩みを抱えている方、それは“皮脂が多い”からだけではないかもしれません。
脂性肌や混合肌は、「皮脂分泌の乱れ」「ホルモンバランス」「スキンケアの誤り」など、複数の要因が重なって起きています。適切なアプローチを知らずに洗いすぎたり、油分を避けすぎると、かえって悪化することも。
今回は医師の視点から、脂性肌・混合肌の特徴をタイプ別に分け、論文に基づいたケア方法をご紹介します。
✅ タイプ①:過剰皮脂型脂性肌(シンプルオイリー)
特徴
・顔全体が皮脂でベタつきやすい
・ニキビや毛穴づまりが多い
・洗顔後はさっぱりするが、すぐにテカる
原因
・皮脂腺が活発(遺伝・体質)
・男性ホルモン(アンドロゲン)の影響
・糖質・脂質の多い食生活
ケア方法
- 朝晩のやさしい洗顔(泡で30秒程度)
- サリチル酸、グリコール酸などの角質ケアを週1回
- ビタミンC誘導体やナイアシンアミドの化粧品で皮脂コントロール
- ジンク(亜鉛)やビタミンB群の摂取
根拠論文:Dreno et al.(2018)は、皮脂過剰型のスキンタイプにおいて、ビタミンCやレチノイドが皮脂分泌を抑制し、炎症も軽減することを報告しています。
✅ タイプ②:インナードライ型混合肌(乾燥隠れ脂性)
特徴
・Tゾーンはテカるが、頬や口周りはカサカサ
・毛穴が目立つのに乾燥もする
・夕方になるとメイクが崩れやすい
原因
・水分不足による「過剰な皮脂分泌の代償作用」
・誤った洗顔・保湿ケア
・睡眠不足やストレス
ケア方法
- クレンジングはミルクタイプ、朝はぬるま湯洗顔も◎
- 保湿には「セラミド+ヒアルロン酸」の水分重視型を使用
- ブースター美容液などで浸透を高める
- ホットタオルやマッサージで血流促進
根拠論文:Youn et al.(2013)は、混合肌では「水分保持機能が不十分なために皮脂が過剰になる」とし、保湿重視のケアが先行すべきとしています。
✅ タイプ③:ホルモン型脂性肌(周期性あり)
特徴
・生理前に皮脂が増え、ニキビが悪化
・フェイスラインやアゴ周りに炎症性ニキビが出る
・30代以降も皮脂トラブルが続く
原因
・黄体ホルモン(プロゲステロン)増加による皮脂分泌の亢進
・ストレス・睡眠不足によるホルモン乱れ
・腸内環境の悪化(皮膚腸相関)
ケア方法
- ビタミンB6、亜鉛、大豆イソフラボンなどでホルモン調整
- 炎症抑制タイプのスキンケア(グリチルリチン酸・CICA)
- 腸内環境改善(発酵食品・食物繊維)
- PMS症状が強ければ婦人科受診も選択肢に
根拠論文:Katta & Desai(2014)は、「ホルモンバランスと皮脂分泌は密接に関係しており、腸内環境やストレスも肌に影響を与える」と報告しています。
✅ 医師のひとこと
「脂性肌だから、とにかく皮脂を落とせばいい」という考えは危険です。
皮脂は本来、肌を守る大切な成分。むやみに奪えば、皮膚は“もっと出せ”という反応を示し、悪循環に陥ります。
自分の脂性肌の“タイプ”を知ることが、第一歩。
そのうえで、生活・食事・睡眠・スキンケアを見直していくと、肌は応えてくれます。
✅ まとめ(タイプ別早見表)
タイプ名 | 特徴 | ケアの方向性 |
---|---|---|
過剰皮脂型 | 顔全体のテカリ | 洗顔+皮脂抑制成分(ビタミンC) |
インナードライ型 | テカリ+乾燥 | 保湿ファースト・洗顔見直し |
ホルモン型 | 生理周期で悪化 | ホルモン調整+腸活 |
✅参考文献
- Dreno B, et al. “The skin microbiome: A new actor in inflammatory acne.” Am J Clin Dermatol. 2018.
- Youn SW, et al. “Characteristics of facial skin types.” J Eur Acad Dermatol Venereol. 2013.
- Katta R, Desai SP. “Diet and dermatology: The role of dietary interventions in skin disease.” Dermatol Pract Concept. 2014.
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