高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれる、症状が目立ちにくい疾患です。しかし、放置すると心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。この記事では、高血圧治療の流れや治療薬の選び方、医師と薬剤師の役割を解説します。正しい知識を持ち、適切な治療を受けることで健康な生活を目指しましょう。
1. 高血圧治療の流れ:医師が診断する基準
1-1. 診断基準
- 診察時血圧: 140/90mmHg以上
- 家庭血圧: 135/85mmHg以上
これらの基準を超える場合、高血圧と診断されます。医師は患者の生活習慣、既往歴、家族歴を確認し、必要に応じて検査を行います。
1-2. 治療方針の決定
治療方針は患者のリスクに応じて異なります。
- 軽症: 生活習慣の改善(食事、運動、減塩)を指導。
- 中等症~重症: 生活習慣改善に加え、薬物療法を開始。
2. 医師が処方する薬の選び方
2-1. 薬の選択基準
医師は以下の基準で薬を選びます:
- 患者の年齢、性別、体質
- 併存疾患(糖尿病、腎臓病など)
- 副作用のリスク
2-2. 主な高血圧治療薬の種類
薬の種類 | 代表的な薬剤名 | 効果 |
---|---|---|
ACE阻害薬 | エナラプリル、リシノプリル | 血管を広げて血圧を下げる |
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬) | ロサルタン、テルミサルタン | ACE阻害薬と同様の効果 |
カルシウム拮抗薬 | アムロジピン、ニフェジピン | 血管平滑筋を緩め、血圧を下げる |
利尿薬 | ヒドロクロロチアジド | 余分な塩分と水分を排出 |
β遮断薬 | アテノロール、カルベジロール | 心拍数を抑え血圧を下げる |
2-3. 患者への説明内容
医師は以下を患者に伝えます:
- 薬の効果を理解し、正しく服用する重要性
- 副作用が現れた場合の対応方法
- 定期的な血圧測定と記録の必要性
3. 薬剤師が注目するポイント
3-1. 服薬指導で重視すること
薬剤師は患者が薬を正しく服用できるよう、以下を指導します:
- 飲み忘れの防止策(服薬カレンダーの提案など)
- 飲み合わせのチェック(サプリメントや他の薬との相互作用)
- 副作用のモニタリング(咳、めまいなど)
3-2. コミュニケーションの重要性
患者が抱える不安を聞き取り、医師と患者の橋渡しを行うことも薬剤師の重要な役割です。
4. 高血圧治療薬の選び方:症例別ガイド
4-1. 糖尿病を併発している場合
ARBやACE阻害薬が優先されます。これらは腎保護効果があり、糖尿病性腎症の進行を遅らせます。
4-2. 高齢者の場合
カルシウム拮抗薬や利尿薬が第一選択肢となることが多いです。ただし、利尿薬は脱水リスクがあるため注意が必要です。
4-3. 妊娠中の高血圧
ACE阻害薬やARBは禁忌です。ラベタロールやメチルドパなど、安全性の高い薬が使用されます。
5. 生活習慣の改善と併用した治療
薬だけでなく、以下の生活習慣の改善が重要です:
- 減塩食: 1日6g未満を目指す。
- 適度な運動: ウォーキングやヨガを週3~5回。
- ストレス管理: 瞑想や趣味でリラックスを心がける。
6. 高血圧治療薬の副作用一覧
薬の種類 | 主な副作用 | 対応策 |
---|---|---|
ACE阻害薬 | 咳 | 医師に相談しARBへ切り替える |
利尿薬 | 頻尿、脱水 | 水分摂取量を適切に調整する |
β遮断薬 | 倦怠感、息切れ | 運動量を調整しながら経過を見る |
7. 外部リンクでさらに学ぶ
- 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン
公式サイト - 厚生労働省:生活習慣病の予防について
厚生労働省の情報ページ
結論:高血圧治療は医師と薬剤師の連携が鍵
高血圧は早期の診断と治療が重要です。医師と薬剤師の連携によって、患者に最適な治療を提供することが可能です。自身の健康を守るためにも、疑問点は遠慮なく相談してください。
健康診断などを行うと血圧以外の数値もわかると思います。それらの数値を見てどのように改善していけば良いか分からないことが多いと思います。こちらの記事では健康診断後のポイントをまとめていますのでよければ参考にしてみてください!