【医師が解説】VIO脱毛と膀胱炎予防の医学的な関係性

Beauty-Medical

はじめに

デリケートゾーン(VIO)の脱毛は、衛生面や美容目的で多くの女性に選ばれています。​しかし、VIO脱毛が膀胱炎の予防やリスクにどのような影響を与えるのか、医学的な観点からの理解はまだ十分ではありません。​今回は、論文ベースにVIO脱毛と膀胱炎予防の関係について解説します。​


膀胱炎とは?

膀胱炎は、尿道から細菌が侵入し、膀胱内で感染を起こす疾患です。​特に女性は尿道が短く、肛門や膣口との距離が近いため、細菌が侵入しやすい構造となっています。​主な症状には、頻尿、排尿時の痛み、残尿感、があります。​再発性膀胱炎は、1年に3回以上発症する場合を指し、生活の質を大きく低下させる要因となります。​


VIO脱毛の影響

VIO脱毛は、衛生的な理由や美容目的で行われることが多いですが、過度な脱毛が膀胱炎のリスクを高める可能性があることが指摘されています。​2023年に発表された研究では、極端な陰毛の除去が再発性尿路感染症(UTI)の潜在的なリスク要因である可能性が示唆されています。​Medical Dialogues+1PMC+1

この研究では、18〜45歳の女性2409人を対象に、過去12か月間の陰毛の手入れ習慣とUTIの発症頻度を調査しました。​その結果、週に1回以上すべての陰毛を除去する「極端なグルーミング」を行っている女性は、再発性UTIのリスクが有意に高いことが明らかになりました。​Medical Dialogues+2ResearchGate+2PMC+2


陰毛の役割とマイクロバイオーム

陰毛は、外部からの異物や病原体の侵入を防ぐバリアとしての役割を果たしています。​また、陰毛には特定の微生物が生息しており、これらの微生物が尿路や膣内の健康を維持するのに寄与していると考えられています。​過度な脱毛により、これらの有益な微生物のバランスが崩れ、感染症のリスクが高まる可能性があります。​


脱毛方法と皮膚への影響

脱毛方法によっては、皮膚に微細な傷をつけることがあり、これが細菌の侵入経路となることがあります。​特にカミソリを使用した剃毛は、皮膚への刺激が強く、炎症や感染のリスクが高まるとされています。​一方、レーザー脱毛や光脱毛などの方法は、皮膚へのダメージが少なく、感染リスクを低減できる可能性があります。​


膀胱炎予防のためのVIOケアのポイント

  1. 過度な脱毛を避ける:​必要以上に陰毛を完全に除去することは避け、適度な長さを保つことで、自然なバリア機能を維持しましょう。​
  2. 脱毛後のケアを徹底する:​脱毛後は、保湿や抗炎症作用のあるクリームを使用し、皮膚の健康を保ちましょう。​
  3. 清潔な脱毛器具を使用する:​使い捨てのカミソリや、定期的に消毒された脱毛器具を使用することで、感染リスクを低減できます。​
  4. 適切な下着を選ぶ:​通気性の良い綿素材の下着を選び、蒸れを防ぐことで、細菌の繁殖を抑えることができます。​

まとめ

VIO脱毛は、衛生面や美容目的で行われることが多いですが、過度な脱毛が膀胱炎のリスクを高める可能性があることが示唆されています。​陰毛の自然なバリア機能や、そこに生息する有益な微生物の存在を考慮し、適度な脱毛と適切なケアを心がけることが、膀胱炎予防につながります。​自身の健康を第一に考え、バランスの取れたVIOケアを実践しましょう。​


参考文献:​Medical Dialogues

  • Galbarczyk A, Marcinkowska UM, Klimek M, Jasienska G. Extreme pubic hair removal as a potential risk factor for recurrent urinary tract infections in women. Scientific Reports. 2023;13(1):19045. doi:10.1038/s41598-023-46481-6​ResearchGate+3

Tags:

Comments are closed