見えない危険、緑内障を知ることから始めよう
見えない危険、緑内障を知ることから始めよう
緑内障は「静かなる視力の泥棒」と呼ばれる病気です。初期症状がほとんどないため、気づいたときには視野が狭くなっていることも。
本記事では、医師がどのように治療を進めるのか、薬剤師が薬の調剤や指導で着目するポイントについて詳しく解説します。併せて、治療薬の種類や使い方もわかりやすく説明しますので、緑内障治療を始めたばかりの方もぜひご覧ください。
1.医師が処方するまでの流れ
1-1. 緑内障の診断基準と検査
緑内障と診断されるまでには、以下の検査が行われます:
- 視野検査:視野の欠損を確認。
- 眼圧検査:眼圧の上昇がないかチェック。
- 眼底検査:視神経の異常を確認。
1-2. 治療方針の決定
緑内障は眼圧の管理が基本です。 眼圧が正常でも進行する「正常眼圧緑内障」もあるため、患者ごとに治療の目標が異なります。
2.医師が緑内障治療薬を選ぶ基準
2-1. 初期治療ではプロスタグランジン関連薬を選択
- 理由:眼圧を下げる効果が強く、1日1回の投与で患者の負担が少ないため。
- 例:ラタノプロスト(キサラタン®)、トラボプロスト(トラバタンズ®)。
2-2. 効果が慎重な場合は併用療法
以下の薬剤が追加される場合があります:
- β遮断薬(例:チモロール):眼房水の産生を抑える。
- 炭酸脱水酵素阻害薬(例:ドルゾラミド):眼房水の産生を抑える。
- 交感神経作動薬(例:ブリモニジン):眼房水の排出を促進。
2-3. 選択基準
- 患者の年齢
- 他の疾患(例:喘息ではβ遮断薬を避ける)
- 点眼薬の副作用や投与回数
3.患者に伝えるべきポイント
3-1. 点眼薬の使い方と順番
複数の薬を使う場合は、5分以上間隔を空けるように指導します。これは薬の吸収を妨げないためです。
3-2. 正しい点眼方法
- 手順:下まぶたを軽く引き下げ、薬を1滴落とす。
- 注意点:点眼後は目を閉じ、涙点を軽く押さえる(涙液による薬の排出を防ぐ)。
3-3. 副作用の確認
例:プロスタグランジン関連薬では虹彩色素沈着やまつ毛の成長が起こる可能性。
• 必要に応じて、医師に相談するよう指導します。
4.薬剤師が緑内障治療薬で着目するポイント
4-1. 薬剤の保存方法
- 冷所保存が必要な薬もあるため、患者に具体的な保管場所を指導します
4-2. 飲み合わせの確認
- 内服薬やサプリメントとの相互作用がないか確認します。
4-3. 患者のアドヒアランス向上
- 提案:点眼スケジュール表を渡して管理を支援する。
- 定期的な通院の重要性を説明。
表:緑内障治療薬一覧
分類 | 作用 | 代表薬 | 投与回数 |
---|---|---|---|
プロスタグランジン関連薬 | 房水の流出促進 | ラタノプロスト | 1日1回 |
β遮断薬 | 房水の抑制 | チモロール | 1日2回 |
炭酸脱水酵素阻害薬 | 房水の抑制 | ドルゾラミド | 1日2回 |
交感神経作動薬 | 房水の産生抑制と流出促進 | ブリモニジン | 1日2回 |
6. 緑内障治療の未来
- 最新の薬剤やデバイス(例:持続放出型点眼薬)の開発が進んでいます。
- AIによる診断や管理の進化が期待されています。
外部リンク
結論:医師と薬剤師の連携で緑内障治療
緑内障は早期発見と継続的な治療が鍵です。医師の診断と薬剤師の指導が組み合わさることで、より良い治療効果が期待できます。定期的な通院と正しい点眼を続けることで、視力を守る一歩を踏み出しましょう!